アカバの刺身。小笠原で喰える魚の刺身でどれが一番うまいかと問われれば、迷うことなくそれはアカバの刺身だと答える。品の良い淡い甘みがあり、クセがなく、もてなしの品としても十二分に通用する。刺身用のサクにすると、一匹から少ししか肉がとれず大量のアラがでてしまうため、大きい個体でないと手間ばかりかかる。アラは皮も含めてこれを煮付けにするとなおうまい。しかし、アカバの刺身を喰わす店は、小笠原には一件もないというから驚くほかない。泳ぎ釣りという実に簡素な方法で素人でも釣れる魚ではあるが、漁協の掲示板に張られた魚価一覧でも1kg2000円の値がつく名実共に高級魚である。蘊蓄をつけて懐石風に出せば、高い値でも喜ばれるだろうに誰もやらない。佐渡のイカ刺ししかり、ブータンのリンゴジュースしかり身近な価値というのは気付かないものである。ゆえに、構想(妄想)中のオカヌー亭の主役メニューの一品であることは言うまでもない。
後日談:アカバの刺身を出している店を後日、見つけた、じんべえ庵という店である。

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